バレエのための解剖学8
2015.09.09
腸腰筋(ちょうようきん)
あまり聞いた事の無い筋肉の名前だと思いますが、踊る上ではとても重要な役割を果たしています。
まず腸腰筋とは、
大腰筋(だいようきん)
小腰筋(しょうようきん)
腸骨筋(ちょうこつきん)
の3つの筋肉から構成されます。
大腰筋は12番目の胸椎から腰椎に結びつき、骨盤の前を通り、腸骨筋と合わさり腸腰筋となり大腿骨の小転子についています。
図:腸腰筋
(引用:「インサイドバレエテクニック」)
この腸腰筋は股関節の主要な屈筋(身体を曲げる動きを作る筋肉)です。
バーレッスンでカンブレ(身体を前に倒す動き)をした時に腰から曲がっていくのを主導し、股関節から屈曲していきます。
また腰椎を左右に曲げる動きにも関わります。
バットマンタンジュやデベロッペの動きの時には大腿部の他の筋肉が主導となり動きますが、脚の高さが90度以上になると腸腰筋が働き、単独で屈筋の役割を果たします。
腸腰筋の調子が悪いと大腿四頭筋に負担がかかり、大腿部の筋肉ご必要以上に発達し太くなってしまいます。
レッスンの中でパッセからアラセゴンド(脚を横に出す動き)で高く持ち上げる時に、膝を高い位置に持ち上げてから膝を伸ばしつま先を頭に近い所に持っていく事で、この腸腰筋を最大限屈曲させています。
膝を高く持ち上がらない、途中で引っかかるという方は、大腿四頭筋が強く働いているか、骨盤の向きが正しくなく股関節の中で大腿骨が正しく動いていないかもしれません。
この腸腰筋が硬く縮んでいると腰が反り、胴体のアライメントが崩れ重心が取りづらくなります。
また腸腰筋が硬いとアラベスクやアチチュードで充分に脚が上がらなくなります。
ですので、強く柔らかくしなやかな腸腰筋を作る事でより美しい動きを作り上げる事ができます。
この腸腰筋は腰部から大腿骨に繋がる唯一の筋肉なので、十分にケアをする必要があります。
負担のレッスンの中では、腰部を縮めずに伸ばす意識で立ち、骨盤をいつも正しい位置に保つ事で腸腰筋を鍛える事ができます。
またレッスン後に鼠径部のストレッチを行うことで腸腰筋も緩めていく事ができます。
ケアを怠らず正しい使い方で、もっとバレエを楽しんでください。
引用、参考:「インサイドバレエテクニック」 ヴァレリー•グリーグ著
Angel R