バレエのための解剖学5
2015.05.12
背骨
バレリーナにとって「軸」のある強い身体がピルエットやジャンプをした時に安定を作ります。
その「軸」とは身体の中心にある脊柱(背骨)にあります。
元々、人間の脊柱は緩やかなS字のカーブを描いています。
この脊柱のS字は完全な二足歩行をしている人間にしかないものです。
他の哺乳類はもちろん、霊長類たちも脊柱は後弯(背中が丸まっている状態)しています。
人類の進化の過程で二足歩行をする中で体にかかる衝撃を和らげるためにこの形にたどり着きました。
更に成人の平均的な頭の重さはだいたい5~6㎏です。この重い頭を支え、衝撃をバネのように和らげるためにもS字のカーブは必要なものです。
しかしバレエダンサーはこのS字のカーブがなくなりほぼまっすぐの脊柱の形をしています。
人間特有の生理的弯曲がなくなってもダンサーにはまっすぐな脊柱が必要です。
最初に書いたように、「軸」となるのは、脊柱だからです。
頭からまっすぐ伸びた背骨から、ポワントでつま先に一点に立つことで独楽の様な軸が作られます。
バレエを小さい頃から習っていると、整形外科などの病院に行くと「ストレートネック(頸椎の生理的弯曲がなくフラットな状態)ですね。」と診断されることが多いと思います。
これは、バレエの特性上、特定の動作や姿勢を維持し続けるので、それに体型が合わせて変化していきます。
脊柱の変化は頸椎(首)たけでなく、胸椎にも起こっています。
胸椎は後弯(背中側にカーブ)しているものですが、バレリーナの胸椎はフラットになりやすいです。
しかしこのS字のカーブがなくても身体に痛みが少ないのは、それだけ常に軸を引き上げる姿勢をキープしているからです。
さらに伸ばして固めているのではなく、様々な方向に動かし、背骨の可動域が広く柔軟性のある筋肉によって支えられているから様々な動きに身体が対応でるのです。
日常の生活でそこまで身体を引き上げるという意識を持ち続けるという事はなかなか難しいと思います。
バレエのレッスン以外で、まずは自分の脊柱を様々な方向に動かし、自分の身体の中心に脊柱という軸が通っている、その背脊柱を立ち上げるということを意識してみて下さい。
身体がふらふらすると感じるときは、背骨が大きく曲がっている骨盤が立ち上がっていないなど、どこかしら軸がずれているかもしれません。
一度自分の姿勢を鏡でチェックしてみて下さい。
Angel R
ピラティス講師 川本 直枝
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